西村陽平:Nishimura Youhei  2017

 

“死者の書:BOOK OF THE DEAD”

  

5. 20 ( Sat. ) - 6. 10 ( Sat. ) 

 

 

 

 西村陽平は1947年に京都で生まれました。キャリアの当初から現代陶芸の旗手として注目を集め、現在に至っております。しかしながら西村の作品は陶芸というジャンルだけに収まる物ではなく、広く現代美術の視点から語られるべきものだと考えています。

 

 西村の作品は、作家の最小限の手しか加わっていない極めてストイックな姿をしています。それは西村が体験したミニマル・コンセプチュアルアートの影響とも言えます。しかし西村作品の根底には異なった概念があるのではないでしょうか。今回の展覧会タイトルが示すように、西村の作品には文学というものが大きく関わってます。西洋等では芸術の根幹にはバイブルが存在しますが、日本ではそうではなく、和歌がその根幹に存在しあらゆる芸術・芸能に影響を及ぼしています。そんな日本の文化土壌から生まれた西村の作品は、ストイックでありながらも何処か人間味を感じさせてくれます。それは、例えば河原温のデイトペインティングにも共通するものです。数字だけの画面ですが、それは日付であり、おまけにその日の新聞が作品には付随しています。誰にでもある、ある1日として河原温のデイトペインティングは存在しているのです。ドナルド・ジャッドなどのミニマル系の作品は、観る者の思いとは関わり無く存在したり、もしくは根源を突き詰める様相をしています。しかしながら西村の作品はそうではなく、観る者の思いを受け止める器の様な物では無いでしょうか。それは河原の作品もまた然りです。西村の作品は、ミニマル・コンセプチュアルアートへのユニークな関わり方がまだある事を指し示してくれています。

 

 

 

 

 

 

 

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